2020
06.28

【継続が苦手な人はどうすればいい?ショットバーBirthlandの日野正利さんに聞くプロの仕事論と継続の心構え】

飲食・サービス

飲食事業は参入障壁の低いビジネスであり誰もが比較的簡単に開業できますが廃業が後を絶たないと言われています。開業3年で約7割が廃業し10年も営業を続けている店は1割程度。その中でショットバーBirthlandが30年もの営業を続けてこられたのには理由があります。

今回はプロバーテンダーの日野正利さんから「続ける秘訣」と「選ばれるために大事な心構え」についてインタビューしました。
バーテンダーや飲食店の開業を目指す人だけでなく、続けることに苦手意識を感じている人、お客様(相手)に選ばれるにはどうすれば良いか悩んでいる人は必見です!

 

将来の夢を決めて走り出すためには

ーー日野さん、本日はよろしくお願いします。ショットバーBirthlandは昨年で30周年を迎えましたね!まずは日野さんがバーテンダーを始めたきっかけや経歴を教えてください。

「よろしくお願いします。バーテンダーを始めたきっかけは学生時代のアルバイトです。時給の高いアルバイトを探していて、接客の楽しさを知りました。バーテンダーになりたいと決心しホテルに就職し3年半経験を積みました。」

ーー肌に合うと体感したのですね。若い頃は大変でしたか?

「そうですね。今思えばバーテンダーになりたての頃は歯を食いしばって勉強していましたね。一生この道で生きていこうと決め視野を広げるために様々なお店に出向いたりしました。特に若い頃は自分は将来こうなりたいと想像し常に上を見ていました。」

ーー将来こうなりたいと想像し努力することは非常に大切だと思います。こうして30年間お店を続けてこられたのは日野さんの努力の賜物なのですね。

「私の力だけでは30年間続かなかったです(笑)私がバーテンダーとしてお店を続けてこられたのは人の縁のお陰です。地域の縁と書いて地縁と言いますがたまプラーザという土地柄、富裕層の方が多く良いのサービスを知っている方が通ってくださったのが大きいかと思います。」

ーーなるほど。地元にこんなバーもあるんだと認識されたことは大きいですね。良いサービスを知っている方々からの支持を受けた日野さんの接客が知りたいです!

「そうですね、笑顔ででしゃばりすぎずお客様の話をよく聞き、かつお客様への目配り気配りができて仕事が早く正確で所作が美しいということを心掛けています。」

ーー求められることは多岐に渡るのですね!良いサービスを知っている方々から支持されそうです。

 

(※30周年記念パーティの時の写真。日野さんの右にいらっしゃるのは初代の従業員として勤務していた五味さん。今は銀座でバーを開いています。)

人と接する上で大事なこととは?

ーー良いサービスを提供するための心構え、素晴らしいです。とはいえ全て叶えるのには非常にハードルが高いなと感じたのですがいかがですか?

「そうですね、難しいと思います。なかなかそういう人はいないでしょうし、私の目標でもあります。」

ーーその中でも特に日野さんが重要視していることは何ですか?

「私はお客様との距離感を大事にしています。接客テーマは『淡交』です。お茶の世界の言葉で、淡い交わりと書いて淡交と読みます。」

ーー上品で美しい言葉だと思いました。人との距離感を保ち意識することは非常に大切ですね。

「はい。踏み込み過ぎず遠ざけすぎず。微妙な距離感が大事だと思っています。変に馴れ馴れしくならないし、変によそよそしくするわけではない。」

ーーバーでの接客だけでなく、『淡交』という考え方は普段の人間関係にも応用できそうな考え方です。他にも大事にしていることがあれば教えてください。

「あとは、お客様が何を求めてうちのお店に来てくれたか?ということを感じるようにしています。例えば、一人でゆっくりお酒を飲みたいのか誰かと喋りたいのか、カップルで来たからそっとしておいてほしいのかお客様には様々なニーズがあります。」

ーー様々なニーズを把握し応えるようにすることは重要ですね。お客様のニーズは経験を重ねたからこそわかることなのですか?

「実は私も未だに分からないのです。お客様が携帯を見ていても本当は話しかけてほしいのかな?と考えることもありますし、携帯に夢中だからほっといてっていうひともいるでしょうし。すごく難しい時代でもあると思います。」

ーーお客様が何を求めて来店したのかを想像することはとても難しいですし、昔と違って多種多様なニーズがあるからでしょうか?

「そうですね。30年も経てば時代やニーズがどんどん変化していきますからね。それについていくのはなかなか難しいですし、お客様の年齢層も幅広いので未だに100%の接客ができているか、僕は自信を持って言えません。」

ーー30年サービス業のプロとして従事している日野さんでも難しいと感じるのですね。

「はい。でもそこで無理だと諦めるのか、もう少し高いクオリティで頑張ってみようと思うのかという考え方はとても大切です。無理なものは無理だと諦めのではなく、少しでも顧客満足度を高めようという意識を常に持っています。」

ーー顧客満足度を高めようと常に上を目指していて素晴らしいです。そのために何かしていることはありますか?

「はい。ここ最近ではBYO制度(持ち込みOK)という新しい企画を取り入れることにチャレンジしました。BYO制度を取り入れているレストランがあるのを知っていますか?」

ーーはい。レストランの場合はワインの持ち込みOKという制度になっていますよね。

「レストランではそうですが、バーではおつまみ持ち込みOKにしたらどうだろう?と発想転換させて取り入れてみました。『Bring Your Own おつまみ』ですね」

ーーとても面白い企画で話題性もありそう!取り入れてみていかがでしたか?

「賛否両論ありましたが、大多数のお客様からご好評いただいています。人間は良くも悪くも飽きる生き物です。拘らず新進の精神を持つことが大事だと感じています。」

ーー新進の精神とは新しく取り入れて進歩するという意味ですよね。30年お店の継続ができた理由の一つとして、常に世の中の動きにアンテナを張る意識が挙げられると思いますがいかがですか?

「はい。強いものが生き残るのではなく変化に対応できる者が生き残ると思っています。時代に乗り遅れないように(笑)柔軟に発想転換するように心がけています。」

ーー名言いただきました!「変化に対応できる者が生き残る」という言葉すごく胸に刺さります。私もフットワーク軽くしておかないと。

(※20周年記念の時にウイスキーを樽買い。ウイスキーの蓋の部分は鏡板と言うらしい!オシャレ!)

 

続けた人だけがみれる景色・よろこびとは?

ーー世の中の変化に合わせてお店の営業を30年続けてこられましたがお店をやっていてもっとも嬉しかったことは何ですか?

「私のバーで知り合った男女が出会い、カップルになり結婚し、生まれたその子供が成人し一人でお酒を飲みに来てくれた時は感動しました。」

ーーまさに30年やっていないと出会えない格別なシーン…!

「このバーで出会っていないと生まれない子でしたから、お子さんが一人で来た時は我が子をも見る気持ちになり感慨深いものがありました。

ーーそもそも日野さんがお店をオープンさせていないと無かったものでしたよね。人の巡り合わせは面白いものですね!

選ばれたい人に選ばれる。そんな人になるには?

ーー現在お一人(ワンオペ)で営業されていますが、お客様に来ていただくためにしていることはありますか?

「『あの人に会いたい』と思ってもらえるよう人的魅力を常に磨くよう意識しています。そのために人に会い勉強会に行き、ウイスキーについて学ぶためにスコットランドのアイラ島へ行く計画も立てていました。コロナの影響で延期になりましたが来年は行きたいなと思っています。」

ーー探究心が素晴らしく勉強になります。日野さんの自己研鑽が繁盛するお店づくりに繋がっているのですね!

「ありがとうございます。私は商売関係なく人を癒せる存在になりたいと思っています。日野さんと会うとほっとするとお客様に言われたことがあってとても嬉しかったので。私に会って心ほぐれるお客様をもっと増やしたいなと考えています。」

ーー話を聞いてもらえて楽になったと言われると嬉しいですね。経営面ではいかがでしょうか?

「古い考え方かもしれませんが、数字は後からついてくると思っています。利益だけを求めてお店を運営していくのは少し違うかなと思っています。」

ーー確かに、目先の利益だけ見るとお客様が見えなくなってしまいそうです。数字は後からついてくるという考え方は私も同じ意見です!

(※こちらは日野さんの似顔絵。昨年11月に開催された30周年記念パーティで描いて頂いたそう)

日野さんに学ぶ「続ける秘訣」と「選ばれる力」

ーーズバリ、続けていく秘訣は何ですか?

「ここでいいやと現状で満足しない。1cmでもいいから前方へ進むことです。飢え死にしそうな時であっても常にちょっとだけ上を向くことがポイントです。」

ーーちょっとだけ上向きがポイントですね!

「はい。水は下に流れますよね。人間も一緒で現状維持でいいやという考えだと自然と下の方に流れていってしまいます。それを忘れず邁進することですね。」

ーー人を水に例えたお話とても分かりやすいです。よりよい高みを目指して諦めず進む日野さんの覚悟と強さが伺えます。

「ありがとうございます。まとめると知識×経験+人柄=選ばれる力と言ったところでしょうか。」

ーー勉強になります。マネできるところはたくさんありそうです。知識は今まで蓄積してきたものと今後吸収するもの、経験はトライアンドエラーを繰り返す中で蓄積されるもの、人柄は勉強や読書、旅行など様々なものから人的魅力を磨くことで高められそうですね。それらを積み重ねることで継続力・選ばれる力となるのですね!

 

 

今回、日野さんのお話は「心構え」のお話が8割を占めていました。技術面ももちろん重要ですが小手先のテクニックではなく、人間力を鍛えることが重要なのだそう。バーテンダー業だけでなく全てにおいて物事に対する捉え方や心構えが大事だと非常に勉強になりました。

ちなみに「拘る」という言葉はここにとどまり続け進歩しないという意味で日野さんはこの言葉は使わないそうです。言葉の使い方一つとっても、日野さんの前向きなマインドが感じられました。お話の中では「一生バーテンダー宣言」もされていた日野さん。時代の変化に対応しより良い接客を追求する日野さんのあくなき探究心はまだまだ尽きるところを知らないようです!

日野さん、本日はありがとうございました!

 

店舗情報
ショットバー バースランド
神奈川県横浜市青葉区新石川3-16-2 たまプラーザ駅徒歩3分
店舗HP:http://www.birthland.jp/

食べログ:https://tabelog.com/kanagawa/A1401/A140201/14002435/

日野さんブログ:https://ameblo.jp/birthland/

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